行政刷新会議
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行政刷新会議(ぎょうせいさっしんかいぎ)とは内閣府に設置された機関。
現在の設置根拠は、2009年9月18日の閣議決定であるが、2010年2月5日に閣議決定され、同日国会に提出された「政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案」において、内閣府設置法を改正し、2010年4月1日から内閣府に重要政策に関する会議として行政刷新会議を設置することが盛り込まれた。
目次 |
[編集] 概要
民主党が第45回衆議院議員総選挙において示した政権構想において官邸主導、政治の一元化を目指すための骨格組織のうちの一つとされ2009年9月16日の鳩山由紀夫内閣発足後、内閣官房に設置された「国家戦略室」、関係閣僚による「閣僚委員会」と並び鳩山由紀夫内閣の政治主導を実現する組織として閣議決定により設置に至った。構想自体は初のマニフェスト選挙といわれた第43回衆議院議員総選挙の際に、党の政権準備委員会が打ち出した政権構想の際から打ち出されていた。
鳩山由紀夫内閣発足2日後の2009年9月18日に閣議決定を行い、法律上の根拠を持たせるまでの暫定措置として、「国民的な観点から、国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行うため、内閣府に行政刷新会議を設置する」と決定した。
内閣府設置法を改正して法律上の根拠を持たせるための法案として、「政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案」を2010年2月5日に閣議決定し、同日国会に提出した。同改正は2010年4月1日に施行される予定である。
同改正法案では、「国民の視点に立って行う国の行政に関する予算及び制度その他国の行政全般の在り方の刷新並びにこれに伴い必要となる、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直し」を「行政の刷新」と定義し、「行政の刷新に関する施策の実施の推進及び関係行政機関の事務の連絡調整に関すること」を内閣府の所掌の中に含めた。
また、行政刷新会議の任務として、次の事項を定めた。
- 内閣総理大臣の諮問に応じて行政の刷新に関する重要事項について調査審議すること
- 行政の刷新に関する重要事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べること
- 行政の刷新に関する重要事項に関する施策の実施を推進すること
[編集] 構成
議長は鳩山由紀夫内閣総理大臣が、副議長は枝野幸男行政刷新担当大臣がそれぞれ務める。その他に、内閣総理大臣が指名する者や有識者を構成員として組織する。必要に応じて分科会を置くこともできる。
[編集] 議員
| 氏名 | 役職 | |
|---|---|---|
| 議長 | 鳩山由紀夫 | 内閣総理大臣 |
| 副議長 | 枝野幸男 | 行政刷新担当大臣 |
| 議員 | 菅直人 | 副総理兼財務大臣 |
| 平野博文 | 内閣官房長官 | |
| 仙谷由人 | 国家戦略担当大臣 | |
| 原口一博 | 総務大臣 | |
| 片山善博 | 慶應義塾大学法学部教授 | |
| 加藤秀樹 | 行政刷新会議事務局長 | |
| 草野忠義 | 財団法人連合総合生活開発研究所理事長 | |
| 茂木友三郎 | キッコーマン株式会社代表取締役会長CEO | |
| 吉川廣和 | DOWAホールディングス株式会社代表取締役会長CEO |
[編集] 歴代「行政刷新担当大臣」
[編集] 事務局
行政刷新会議の事務は内閣府設置法を根拠に内閣府が行うこととされ、2009年9月18日の会議設置にあわせて内閣府に事務局が設置された。
[編集] 事業仕分け
[編集] 事業仕分けの目的
- 既存の予算であっても、そもそも必要な予算なのかゼロベースで見直す
- 極力現場の目線で執行の実態を踏まえる
- 予算編成の透明性を徹底する
- 全府省政務三役の一致協力―政治主導の実現
- 「しがらみ」から予算編成作業を解き放ち、国民みんなの力を結集する[1][2]
[編集] 実施の経緯
鳩山由紀夫内閣が掲げる政治主導の一環として、行政刷新会議にワーキンググループ(WG)が置かれ、2009年11月10日から事業仕分け作業が開始された。「事業仕分け」とは「公開の場において外部の視点も入れながらそれぞれの事業ごとに要否等を議論し判定するものであり、透明性を確保しながら予算を見直すことができる有効な方法」と説明されている[3]。民主党の議員や有識者、担当府省の副大臣又は政務官からなるメンバーで公開の場において、予算をそれぞれの事業ごとに要否等を議論し判定するとしている。
2009年11月12日、仙谷由人行政刷新担当相は毎日新聞の政策情報誌「毎日フォーラム-日本の選択」のシンポジウム「政治は変わったか~民主政権の課題と自民再生への展望」において、行政刷新担当相として「事業仕分け」について「予算編成プロセスのかなりの部分が見えることで、政治の文化大革命が始まった」と発言した[4]。
この事業仕分けはあくまで「判定」であり、仕分け人に予算削減を行う権限・強制力はない[5]。
[編集] 仕分けの詳細と経過
- 「公益法人の事業仕分け」も参照も参照のこと。
- 政府内や自治体での事業の重複や天下り先となっている独立行政法人の基金を中心に廃止、見直しがなされた[6]。
[編集] 科学関連
「汎用京速計算機」および「スーパーコンピュータ#次世代スーパーコンピュータプロジェクト」も参照
科学技術関連事業も大幅な削減が行われ、先端技術関連の予算が次々と削られた[7]。IPS細胞を生んだ事業も対象となり、科学関連で「無傷」な事業は存在しなかった[8]。
11月13日には、専門性の高さからこれまで政府内でも「聖域」と位置づけられてきた[9]総額1154億円で計画が進められている次世代スーパーコンピュータ「汎用京速計算機」の開発予算を事実上否定した[7][10][11]。仕分けには、数学者の金田康正や惑星物理学者の松井孝典も仕分け人として参加し、予算縮減に賛同した。なお、世界1位を目指す必要はあるのかなどの議論もあったが、TOP500において11月13日の時点では日本のスーパーコンピュータ(地球シミュレータ)は2009年6月23日以降22位であり、4日後の17日には31位と発表された[12]。
スパコン以外で削減・廃止になった予算として、バイオリソース事業、世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム、Spring-8、産学連携事業、深海地球ドリリング計画、国立大学運営交付金、グローバルCOEプログラム、科学研究費補助金、特別研究員事業や科学技術振興調整費などがある[13]。
[編集] 学術関係者の反応
計算基礎科学コンソーシアムなどの科学技術関連団体が相次いで緊急声明を発表している。
- すでに事業仕分け前から「総合科学技術会議が科学技術予算に関してかなりしっかりと評価をしたにもかかわらず、行政刷新会議で全然別の角度から要らないといわれるのではないか」と懸念する意見があった。[14]
- 有識者からは短期的な利益を追求しがちな仕分け自体が中長期的視野を考えねばならない科学技術を評価するにふさわしくないという指摘がなされている[15][16]。
- 11月24日、7つの旧帝大と早稲田大学・慶應義塾大学の学長が共同で批判声明を出した[17]。
- 11月25日、ノーベル賞・フィールズ賞受賞者5人の科学者が記者会見で事業仕分けを批判[18][19]。同日、理化学研究所の野依良治理事長は「先進各国が国の威信をかけてスパコンの開発にしのぎを削っている。いったん凍結すれば他国に追い抜かれる」とし、仕分けの流れを批判した[20]。
- 京都大ips細胞研究センター長の山中伸弥は、ips細胞の特許に関する会見で「小さな支援を多くの研究者にすることでips細胞のような技術が生まれ、日本の発展につながる。10年後の日本がどうなるのか心を痛めている。日本が科学の後進国にならないように」と注文したとされる[21]。
- 11月26日、名古屋大学でも学長が声明を出し、「明確な国家戦略もなく、効率というキーワードだけで一律にカットしている。赤字が解消しても日本は死んでしまう」と非難した[22]。
- 12月4日、科学技術系の20学会が連名で事業仕分けを憂慮する声明を発表した[23]。
- Spring-8が予算を3分の1から2分の1程度縮減と表決されたことに対し、Spring-8は放射光をこれまで通りに供給することさえできなくなる恐れがでている[24]。
- 特別教育研究経費が縮減と判定されたことに対し、基礎研究への深刻な影響を懸念する意見がある。[25][26][27]。高エネルギー加速器研究機構、スーパーカミオカンデ、すばる望遠鏡などの大型研究施設は国立大学運営給付金のうちの特別教育研究経費によって運用されているが、今回の仕分けにより維持すること自体が困難になるとされる。
- ほかにも科学技術関連団体が相次いで声明を発表している(情報処理学会、総合科学技術会議の有識者議員など、日本分子生物学会、地球内部ダイナミクス領域(IFREE)、日本地球惑星科学連合、日本学術会議、日本植物学会、10国立大学理学部長、国立大学協会、全140GCOEプログラム拠点リーダー、日本生化学会など9団体、慶應義塾大学グローバルCOEプログラム2拠点、日本農芸化学会、日本放射光学会、日本蛋白質科学会、東海北陸地区国立大学学長、日本機械学会、日本気象学会、宇宙ライフサイエンス若手の会で構成される24の若手の会など)。
- 国立天文台教授の牧野淳一郎や、長崎大工学部テニュアトラック助教の濱田剛らなどの科学計算、情報工学の専門家らは、汎用性の高い高価なスパコンの必要性を認めながらもIBMやクレイなど海外の世界最速クラスのスパコンと比較すると高コストな「汎用京速計算機」の仕分けに対しては「世界一になるのに1100 億どうしても必要なのか」「性能当りで高いということが日本の計算科学の将来に明らかな悪影響をもつ」「素直にいいとは言えない。方向性が逆。」として京速に批判的な見解を示している[28][29]。
- 東京大学で理学部物理学科4年生の有志が理系研究者を志望する学生を対象に行ったアンケートによれば、研究者育成資金が縮減対象になった場合「研究者をあきらめることを考える」「海外での活動を視野に入れる」「もともと海外活動を考えていたが、その可能性が増した」など進路に影響するとの回答が8割以上を占めた[30]。
[編集] 経済界の反応
- 御手洗冨士夫日本経団連会長は11月24日の定例会見において、今回の仕分けにおいて科学技術予算に「無駄」認定が相次いだことを受け「日本は資源の乏しい国で、イノベーションの推進で新しい成長を図らないといけない」と述べ、むしろ予算を復活させることを求めた[31]。12月3日には共同通信のインタビューに対して「中長期的な投資に結び付く対策も必要だ」と述べ、研究開発やイノベーション(技術革新)が重要であるとし、改めて予算の増額が必要との考えを示した[32]。
[編集] 政治家の反応
- 鳩山首相は、「科学関連予算の大幅な削減に対して、立ち止まって考える必要も出てくる可能性はある」と述べている[33]。
- 川端文部科学相は鳩山内閣の方針は科学技術を重視するものとして、予算確保を目指す方針を明らかにした[34]。
- 菅直人副総理兼科学技術担当相は「スーパーコンピューターは大変重要」「評価の再考が必要」と発言し、「事業仕分けは最終結論ではない」との見解も示した[35][36]。
- 石原慎太郎東京都知事は11月27日の定例会見で、科学技術分野の予算が削減対象となったことに関して「技術開発をすることで国力が維持される」とし、「政府がつぶれるだけじゃない。日本がつぶれる」「・・人民裁判みたいになってしまって、それで、国民がいかに溜飲を下げても、できてくる予算が実は執行されるときにこの国を狂わせてしまったらえらいことになりますから・・・」と批判した[37][38]。
[編集] 海外の反応
ネイチャーはこの件に関する記事を掲載した[39]。ここで、数年で事業仕分けも落ち着くべき所へ落ち着くかもしれないが、今のままでは今後数十年にわたって壊滅的な影響を及ぼす可能性をはらんでいるとしている。また、12月3日にはハワイ大学の海洋地球物理学者グレッグ・ムーアが世界最大の地球深部探査船「ちきゅう」を用いた深海地球ドリリング計画について、10~20%の予算縮減が提言されたことを嘆いていること等を紹介している[40]。 また、ジャーナリストの藤村幹雄によれば、周辺諸国では日本の科学技術力が低下し、国際競争力が弱まる可能性が強いとして、この結果を「歓迎」しているという[41]。
[編集] 官僚の反応
農水省の高橋博総合食料局長は、農水省の農産物流通加工事業を批判した委員について、「対象事業と競合する事業にかかわる人物が民間仕分け人として参加していたのではないか。小売業の立場を代表している。公平・公正な観点から疑義がある」と書面で批判した。
[編集] その他の反応
堀江貴文はスパコン予算縮減に対して学術関係者側から批判が相次いでいることについて、自身のブログにて「補助金に依存せず、自己資金で開発を進めるべき」という趣旨の発言をおこなった[42]。経済学者の池田信夫も、開発から撤退する企業が相次いでいることで目標性能の実現が疑わしい点や、高額なためビジネスとして成立しない点などを指摘[42][43]し、野依の発言についても批判している[44]。
[編集] 防衛関連
防衛事業については、仕分け人の軍事に関する知識不足から判定は難航した。防衛予算については、鳩山内閣が防衛計画の大綱を先送りしていることもあり、結論が出ずに事実上の仕分け中止となった事業がいくつか存在する[45]。
傍聴者の1人は「(仕分け人の蓮舫議員がテーマパークを例に陸上自衛隊広報センターの有料化を提案したことについて)自衛隊の施設をテーマパークと比べるのはナンセンス。事前に勉強して質問しているようには見えなかった」「官僚側にも予算を確保しようという気力が感じられない」と感想を語った。防衛省側では自衛官の1人が、「経費節減を余儀なくされている現状で、さらに予算の削減を求められた」として、仕分けの結果を非難した[46]。
防衛省側が強く要求していた自衛官の増員についても「見送り」と判定[45]され、隊員の制服を海外調達とするなど被服購入費縮減も求められた。北沢俊美防衛相は、「軍服を海外で調達するなど聞いたことがない」と批判、増員要求が否定されたことについては、自衛隊員と一般公務員を同列に論じる仕分け人に不快感を表明した[47][48][49]。また、数学者の金田康正教授が「カラシニコフは1丁30ドルで買えるとインターネットに書いてあった」と述べ、自動小銃の予算減額を迫るなど、軍事知識が明らかに不足している状況での仕分け作業となった。軍事ジャーナリストの潮匡人も、仕分け人が自衛官増員の必要性や自衛官の専門性を理解していないと指摘し、「仕分け人には誰一人として、防衛関係の実務者・専門家は存在しなかった」と非難した[50]。
[編集] 外交関連
各国にある大使館や領事館などの在外公館も見直しの対象とされ、職員手当の削減が判定されたほか、在外公館の統廃合も検討された[51][52]。仕分けでは施設や人件費についての議論が主体で、中国が在外公館数(特にアフリカ)で日本を抜き、資源産出国への影響力を強めている現状については議論されなかった[52]が、外務省内には「安易な統廃合は日本の存在感低下につながる」と懸念する声がある[51]。
[編集] スポーツ関連
日本オリンピック委員会の予算も仕分け対象となり、「マイナー競技にまで支援が必要なのか」と選手強化費などについて「削減が妥当」と判定された[52][53]。これに対し、2009年12月1日、日本のオリンピックメダリストが共同記者会見で、強化費削減に対し抗議声明を発表した[53][54]。翌2010年のバンクーバーオリンピックでは、2002年ソルトレイクシティオリンピック以来の「金メダル数0個」となった。メダル数ではスポーツに対し官民連携で補助金(日本の4倍弱)を出している韓国に大差を付けられ、事業仕分けで「マイナー競技」とされたソリ競技(リュージュ、スケルトン、ボブスレー)は入賞を果たせなかった[55][56][57]。
『毎日新聞』は2012年のロンドンオリンピックに影響する可能性があるとの懸念を示した[52]。『産経新聞』は「日本は国策としてスポーツに取り組む姿勢が欧米より立ち遅れている」との現状認識を示し、仕分けの結果を批判した[53]。
[編集] 交通関連
事業仕分けでは、赤字のローカル鉄道と路線バスの補助金縮減の判定が出た。一部の自治体や交通関連企業では、負担増による経営悪化で事業の継続が困難になる可能性もあるとして懸念を示している[58]。
[編集] 医療関連
「後発品のある先発品などの薬価の見直し」の事業仕分けで、湿布薬・うがい薬・漢方薬などは薬局で市販されており、医師が処方する必要性が乏しいとして、湿布薬・うがい薬・漢方薬など薬局で市販されているものを保険対象から外すべきかが議題に上った時に、保険適用外の範囲について十分な議論が必要とした上で市販品類似薬を保険適用外とする結論が出された。この結論が漢方薬が保険適応外となる懸念として広がったため、医療用漢方薬最大手ツムラの株価が下落する一方で医療現場で漢方薬を処方する医師や患者の間から反対の声が上がった。仙谷由人行政刷新相は「自分も漢方薬を愛用しているが、漢方薬には学問的にも確立していない部分があり、ただ漫然と西洋医がついでに出している部分もあるとよく言われている」と発言した。なお、民主党の2009年の衆院選のマニフェストでは「統合医療の確立ならびに推進」として「漢方、(中略)などを統合医療として、科学的根拠を確立します」と漢方を推進する記述が存在する[59]。
[編集] 財務省関連
財務省主管事業である「公務員宿舎建設等に必要な経費」についても初回の事業仕分けの対象となった。 財務省は一般会計に計上されている地方の小規模な宿舎や老朽化した宿舎を対象とすべくボロボロの宿舎の写真を配布資料に載せて乗り切ろうとした。しかし、仕分け人の本命は特別会計の特定国有財産整備費に計上された都内からの3,000戸宿舎新築・移転費用であったため、WGの評価は「公務員宿舎の在り方については、速やかに関係省庁間において検討を行い、宿舎の建替えについては、その検討を踏まえ実施することとし、それまでの間、継続案件や東京周辺以外の緊急建替えを 除き凍結することとし、継続案件についても、朝霞等凍結可能なものについては凍結する」[60]という継続案件も含めて見直す厳しいものとなった。 2010年(平成22年)年度予算政府案「内閣・司法警察・財務省関係予算ポイント」[61]によれば25か所約7,700戸の宿舎の凍結が決まったが、タワーマンション型公務員宿舎東雲住宅等、既に着工済みの物件についての凍結は見送られた。
[編集] その他
ガソリンスタンドの土壌汚染対策補助金が廃止となった際、仕分け人が「泥棒に追い銭」とガソリンスタンド事業者を泥棒に例えた発言を行ったことに対し、ガソリンスタンド業界は反論文書を提出する方針を固めた[62]。
[編集] 評価者
事業仕分けを実際に担う評価者は以下の通り[63]。
| WG名 (担当府省) |
国会議員 | 副大臣・政務官 | 民間有識者 |
|---|---|---|---|
| 第1WG (総務省、 財務省、 国土交通省、 環境省等) |
津川祥吾 (衆議院議員) 寺田学 (衆議院議員) |
- | 青木宗明(神奈川大学経営学部教授)、安念潤司(中央大学法科大学院教授)、井澤幸雄(小田原市職員)、石渡秀朗(三浦市職員)、石渡進介(ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所)、内田勝也(情報セキュリティ大学院大学教授兼横浜市CIO補佐監)、翁百合(株式会社日本総合研究所理事)、奥真美(首都大学棟京都市教養学部都市政策コース教授)、川本裕子(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)、田近栄治(一橋大学大学院経済学研究科教授、理事・副学長)、辻琢也(一橋大学大学院法学研究科教授)、富田俊基(中央大学法学部教授)、新倉聡(横須賀市職員)、ロバート・アラン・フェルドマン(モルガン・スタンレー証券株式会社経済調査部長)、福嶋浩彦(中央学院大学教授/前我孫子市長)、政野淳子(環境行政改革フォーラム幹事) |
| 第2WG (外務省、 厚生労働省、 経済産業省等) |
菊田真紀子 (衆議院議員) 尾立源幸 (参議院議員) |
- | 飯田哲也(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)、石弘光(放送大学学長/一橋大学名誉教授)、市川眞一(クレディ・スイス証券株式会社チーフ・マーケット・ストラテジスト)、長隆(東日本税理士法人代表社員)、海東英和(前高島市長)、梶川融(太陽ASG有限責任監査法人総括代表社員)、木下敏之(前佐賀市長/木下敏之行政経営研究所代表)、熊谷哲(京都府議会議員)、河野龍太郎(BNPパリバ証券チーフエコノミスト)、小瀬村寿美子(厚木市職員)、露木幹也(小田原市職員)、土居丈朗(慶應義塾大学経済学部教授)、中里実(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、福井秀夫(政策研究大学院大学教授)、船曳鴻紅(株式会社東京デザインセンター代表取締役社長)、松本悟(一橋大学大学院社会学研究科教員)、丸山康幸(フェニックスリゾート取締役会長)、村瀬功(九州大学ビジネススクール専攻長)、森田朗(東京大学公共政策大学院教授)、吉田あつし(筑波大学大学院システム情報工学研究科教授)、和田浩子(Office WaDa代表) |
| 第3WG (文部科学省、 農林水産省、 防衛省等) |
田嶋要 (衆議院議員) 蓮舫 (参議院議員) |
- | 赤井伸郎(大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)、新井英明(厚木市職員)、小幡純子(上智大学法科大学院長)、金田康正(東京大学大学院教授)、伊永隆史(首都大学東京教授)、高田創(みずほ証券金融市場調査部長チーフストラテジスト)、高橋進(株式会社日本総合研究所副理事長)、中村桂子(JT生命誌研究館館長)、永久寿夫(PHP総合研究所常務取締役)、西寺雅也(山梨学院大学法学部政治行政学科教授)、原田泰(株式会社大和総研常務理事チーフエコノミスト)、速水亨(速水林業代表)、藤原和博(東京学芸大学客員教授/大阪府知事特別顧問)、星野朝子(日産自動車株式会社執行役員市場情報室長)、松井孝典(東京大学名誉教授)、南学(横浜市立大学エクステンションセンター長)、山内敬(前高島市副市長/高島一徹堂顧問)、吉田誠(三菱商事株式会社生活産業グループ次世代事業開発ユニット農業・地域対応チーム シニアアドバイザー)、渡辺和幸(経営コンサルタント/株式会社水族館文庫代表取締役) |
| 全WG | 枝野幸男 (衆議院議員) |
泉健太 (内閣府大臣政務官) 大串博志 (財務大臣政務官) [64] |
留意点(全WG共通) ※1 直接的な利害関係者は、事業仕分け作業には加わらないものとする。 ※2 行政刷新会議の議員は、全てのWGに評価者として参加することができる。 ※3 行政刷新会議事務局職員や他のWGの評価者が、コーディネーターとして加わる場合がある(評価は行わない)。 |
[編集] 作業に対する評価
地方自治体の首長[65]や業界団体、各省庁[66]からはその手法について批判の声があがっている。自民党からも「公開処刑のようだ」などの批判が出ている[67]。また事業絞り込みや仕分けの助言などにおいて財務省主計局に依存しており[68]、他省庁からは「財務省主導」との見方も出ている[69]。識者やメディアからは仕分けの意義や方向性については肯定的な評価がおこなわれる一方、手法や所要時間、仕分け人の知識量への疑問・議論の場における態度への苦言がなされている[70][71]。
『アゴラ』は、この仕分け作業をスタンフォード監獄実験に例えた見方を掲載した[72]。仕分け人の態度については「いじめのようだ」との苦言がある[71]一方、「遠慮がちな人が多い」という指摘もあった[73]。かつて大蔵官僚として予算編成に関与したこともある伊吹文明元財務大臣は、「公の場で、悪代官をみんなで懲らしめる絵を作ろうとした知恵者は大したものだ」と述べつつも、「民主党の価値観で判断するのは乱暴だ」と仕分けのあり方に苦言を呈した[74]。『産経新聞』は伊吹の発言について「“公開の場で予算を決めれば無駄は解消される”というイメージを作り出した」「“悪代官”を設定して予算を切りやすい状況を作り出した」ことを指摘したものと分析している[74]。
建設業界では、事業仕分けにより予算削減が確実になったとして大手ゼネコンの株価が軒並み下がっている[75]。
田原総一朗は事業仕分けについて「日本の予算や経済にはほとんど影響せず、デフレーションを煽り、不況を長引かせる政策」と指摘すると同時に、「(国民に対して)政策決定プロセスをオープンにした」と指摘し、民主党が高支持率を維持している要因になっていると述べている[76]。
竹中平蔵は事業仕分けを帝政古代ローマ末期の「パンとサーカス」のサーカスになぞらえ、「国民の歓心目当ての愚策」と評している[77]。
『毎日新聞』は「目先の予算削減の目標ありきで、民主党が掲げる国家像は見えなかった」と論じ、仕分けが財務省主導を避けられなかったとして、「当初掲げられていた“政治主導”は色あせた」と報じた[78]。
2009年11月23日に産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査によれば、回答者の9割近くが事業仕分けを肯定的に評価している[79]。2009年12月4日から6日にかけて行われた『読売新聞』の調査では、仕分けの実施については71%が肯定的に評価する一方、内容については63%が「問題があると考える」と回答した[80]。
[編集] 資料の誤り
2009年11月25日、財務省が提出した仕分け人向け資料に複数の事実誤認があることが判明した。事業の税金投入額を実際の倍以上に記載していたほか、仕分け人向け資料に記載された税金額は事業を担当する省庁側には伝えられていなかった。関係者は「予算削減の結論ありきへミスリードされた」としている[81]。
[編集] 結果
2009年11月27日、事業仕分けが終了。当初目標としていた3兆円には届かず、1.7兆円が見直し・国庫返済との判定になった[82]。判定結果には疑問が出されているものが多いことから、実際の予算編成時に見直しになる事業が出てくる可能性が指摘されている[83]。
行政刷新会議では、事業仕分け後、「予算編成過程の公開の重要性を再確認した。と同時に、従来の予算に大きな問題があることが明らかにされた。とりわけ、政策、事業等の目的、必要性に重点が置かれ、実施手段についての検証が十分ではないことが判明した」と総括している[84]。今回仕分けでは対象となってない事業についても、重複排除、補助金交付の効率化、モデル事業、広報・パンフレット・イベント等、IT調達、公益法人及び独立行政法人等の基金の見直し、独立行政法人・公益法人向け支出の見直し、特別会計の事業の見直し、という8項目の横断的見直しの基準で、各省庁において見直すとしている[85]。また、一部から「仕分けの対象とするべき」との意見が出ていた[77]子ども手当は仕分け対象に含まれなかった。
2010年度予算要求では削減額は6770億円となり、3兆円削減という当初の目標にはほど遠いものとなった[86]。仕分け人の1人である土居丈朗慶應義塾大学教授は「政府は仕分け結果を反映できない理由を説明すべきだ」と述べ、仙谷由人行政刷新担当大臣も「官僚の自浄能力には限界がある」と述べるなど、財務省による最終段階の査定に対する不満が示されている[86]。
2010年度予算への反映状況が報告され、事業仕分けの評価結果や横断的見直しの反映による2010年度概算要求からの予算削減額は約9662億円であった[87]。個別の反映状況では、大半の事業において事業仕分け結果が縮減額も含めてそのまま反映される結果となり、また診療報酬・薬価の見直しといった一部事業では増額も行われた[88]。 また、理系研究者を志望する東京大学の学生に対して、若手研究者育成資金が縮減と判定されたことへの影響をアンケートした結果、8割超が研究者になることをあきらめるか、海外に行くなど進路に影響があると回答した。(回答者数 2133人)[89]。
12月2日、民主党の小沢一郎幹事長は、事業仕分けで「見直し」判定だった在日米軍駐留経費の日本側負担や、整備新幹線、高速道路の建設などの大型公共事業など、20-30項目の項目を見直すように、鳩山由紀夫首相に申し入れた。[90]。
[編集] 国民・職員からの意見聴取(ハトミミ)
[編集] 概要
- 行政刷新の目的である「国民と行政の新たな関係作り」を実現し、真に透明、公正かつ効率的な行政の第一歩とする。
- そのため、行政サービスに接している国民の目線での指摘を幅広く受け付けるとともに、行政サービスを提供している職員の提案を受け付ける[91]。
[編集] 方法
国民または職員(国の行政事務に携わる者)の意見をインターネット(HP)又は郵送において募集する。開始時期は、国民の意見が2010年1月18日、職員の意見が2009年12月2日。
[編集] 聴取項目
国民
- 真に国民のために取り組むべき課題や政策の提案
- 身近な国のムダ(国の予算(事務・事業)及び組織の無駄根絶・効率化につながる提案・指摘)
- おかしなルール(国の規制・制度の改善につながる提案)
- 民間開放すべき事業(公共サービス改革(市場化テスト)につながる提案)
職員
- 真に国民のために取り組むべき課題や政策の提案
- 国の行政(事務・事業、組織、業務方法、慣行等)に関して無駄、非効率、不公正、不合理、不透明、違法と思われることの指摘
- これまでに行った業務のうち、やりがいを感じたこと
- 行政内部の密約や府省間の覚書等不透明な取り決めに関することの指摘
[編集] 意見の活用方法
- 受け付けた意見は必要に応じ、各府省の政務三役に報告する。
- 受け付けた意見の重要性に応じ、政務三役等が現地視察、ヒアリング等を行う。
- 調査審議の結果を踏まえ、重要案件については、行政刷新会議、関係閣僚委員会等において対処方針を決定し、実現を図る。
[編集] 受付結果
第1回集中受付月間(2010年1月18日~2月17日受付)で受付られた国民の声は約4800件であった。予算・編成に関わる意見が21%の約1000件、規制・制度に関わる意見が79%の約3800件であった。 また2010年1月31日までに受け付けられた職員の声は約700件であった。独立行政法人に関わる意見が約4割を占めた。[92]
[編集] 聴取方法に対する批判
国民からの聴取方法として、「ハトミミ.com」というドメインを取得し、2010年1月にホームページを立ち上げる予定だったが、同ドメインを取得せずに告知したために政府と無関係な人物が取得し政府に対する意見を公募する第三者のホームページが開設され、ドメイン取得せずに告知した政府の対応に対しインターネット上で批判が出ている[93]。
[編集] 脚注
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[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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